運動器の機能改善・予防製品と事業展開を
サポートし、地域システムの構築を目指す

事例紹介

施術院経営サポートプラットフォームの構築

ダイヤ工業株式会社

(1)背景・経緯

ダイヤ工業は、主に接骨院や鍼灸院、クリニック等で使用されるサポーター・コルセットの開発・製造を行う「運動器のサポーティングシステムメーカー」である。1963年の設立当初はゴム製品を手がけていたが、1984年に腰痛コルセットを自社開発して以降、医療用品メーカーとして事業を拡充してきた。

開発志向が強く、人工筋肉とサポーターで培ったノウハウを組み合わせてアシストスーツブランド「DARWING」を立ち上げるなど、積極的に新規事業展開を進めているが、現在も売上の75%を占め、同社の屋台骨を支えているのが、接骨院・鍼灸院等向けの衛生材料販売である。日本古来の柔術にルーツを持ち、骨接ぎや接骨などの技術を受け継ぐ柔道整復院・接骨院は全国に約5万の施設があり、東洋医学として発展してきた鍼灸も全国で約3万院が開業している。ダイヤ工業はこれらのうち、約3万もの施術院を顧客に持ち、接骨や腰痛等の治療を支えている。

一方で、保険診療の見直しに伴って、接骨院の重要な収益源の一つである療養費給付額(医療保険)は年々減少傾向にあり、コロナ禍での需要減少も加わって、保険診療に頼らない新たなサービス開発や業務効率の改善は喫緊の課題となっている。これらを背景に、ダイヤ工業では2017年から施術院の経営改善・魅力向上に資する各種サービスの提供を開始し、2021年からは「b-smile」という統一ブランドのもので、新たなサービスプラットフォームの構築を始めた。

(2)事業コンセプト

「b-smile」のサービス構成

「b-smile」のターゲットとなるのは、柔道整復師や鍼灸師の国家資格を持ち、運動器の施術・療養にあたっている全国の柔道整復院・整骨院、鍼灸院などである。これらの施術院に対して、デジタル技術を活用した各種サービスを提供することで、院の経営効率の改善や新たなサービス開発等を後押しし、「運動器のホームドクター」としての役割・機能の維持・向上を図ることが、b-smileの提供価値となる。

現在、「b-smile」は、一般ユーザーに対して運動器に関わる情報を提供し、施術院へとつなぐポータルサイトの「bonbone Square」、電子カルテや予約サイト作成などの業務効率化サポートシステムがパッケージ化された「bonbone Answer」、全11項目の測定数値で運動器の状態を数値化する「bonbone Check」、オンライン学習システムの「bonbone Campus」の4つのサービスで構成されている。

(3)実施方策・活用資源

ダイヤ工業の「b-smile」を支える方策・資源としては、以下の3つが挙げられる。

① プラットフォームへのサービスの統合化

2017年からサービスを開始した「bonbone Check」を皮切りに、「b-smile」の各サービスは個別にサービスの立ち上げが行われ、当初はそれぞれのラインで営業やサービス提供が行われていた。これを2021年に統一のプラットフォームにまとめ、新たなブランドとして打ち出したのが「b-smile」である。これにより、サイトのUI(ユーザーインターフェイス)も統一され、サイト全体の分かりやすさ・使い勝手が向上するとともに、サービス全体の統一感・連動性が高まった。また、集客・マーケティングの仕組み・仕掛けも整理され、ダイヤ工業側としても案内がしやすくなった。

オンラインのサービス・コンテンツの利用を図る上では、こうしたUIの向上が重要な鍵を握る。ダイヤ工業では、こうした取り組みをより一層進め、「b-smile」の訴求力を高めていく意向である。

② 新たなサービス・コンテンツの開発

「b-smile」は現在4つのサービスで構成されるが、ダイヤ工業では今後、これらに加えて、睡眠管理や食事指導、人材採用、施術院同士の情報交換など、施術院のサービスの質の向上や業務改善を支援するサービスの追加・拡充を進めていく意向である。

特に、サービス改善意欲の高い施術院では、他の院の取り組みを参考にしたり、意見交換をするニーズが高いことから、施術院同士の情報交換の仲介やコミュニティの場づくりは、院のサービス向上に向けた新たな価値を創出する場になり得るもので、戦略的な重要性が高いと考えられる。

また、「bonbone Square」は「b-smile」のサービスの中では唯一、一般ユーザーと施術院をつなぐ位置付けにあり、施術院の集客を直接左右し得るサービスである。そのため、「bonbone Square」のコンテンツが拡充し、一般ユーザーの利用者が増えれば、集客を期待する施術院の利用も増え、さらに一般ユーザーの利用につながるといった形で、両者が相互循環的に拡大する「ネットワーク効果」が働き得る。そういった意味でも「bonbone Squre」の戦略的な重要性も高いと言える。

③ カスタマーサポートの強化

ダイヤ工業のオンライン展示会

「b-smile」の利用価値を施術院に認知してもらい、実際の活用につなげるためには、積極的な営業活動やカスタマーサポートの強化が不可欠である。ダイヤ工業では、営業担当者が毎日昼の部と夜の部でオンラインセミナーを開催し、b-smileサービスの機能や使い方を紹介している。また、アバターを操作し、よりリアルに近い感覚で会場移動や出展者とのコミュニケーションが可能なオンライン展示会など、デジタル技術を有効活用した新たな営業・PR活動にも積極的に取り組んでいる。

さらに、次年度からは新たにカスタマーサポートチームを結成し、顧客のログイン状況を管理し、利用状況に合わせたサービス活用の個別提案や課題解決のサポートを強化する予定である。こうした取り組みが「b-smile」活用の底上げにつながることが期待される。

 

(4)収益確保のポイント・目標

「b-smile」の方向性

ダイヤ工業では、「b-smile」としてパッケージ化したサービスをサブスクリプションモデル(同一料金・使い放題)で提供することにより、ユーザー(施術院)への訴求力を高めつつ、利用者数の拡大を図っている。また、メイン事業の治療用品(サポーター・コルセット等)の製造販売ともリンクさせ、物品販売で培ったノウハウやデータ、ネットワークを有効活用するとともに、「b-smile」の利用を物品販売の売上増につなげる好循環を生み出し、事業の収益性を向上させることを狙っている。

ダイヤ工業では今後、「b-smile」を施術院経営において必要不可欠なサービスインフラとして拡充・定着を図り、物品販売とともに施術院業界での存在感を高めていく意向である。