運動器の機能改善・予防製品と事業展開を
サポートし、地域システムの構築を目指す

事例紹介

3次元動作計測システムによる医療・介護分野への事業展開

株式会社システムフレンド

(1)背景・経緯

「鑑AKIRA」

システムフレンドは、広島市に本社を置く1997年創業のITシステム開発企業である。ECサイト構築やグループウェア開発などを早くから手がけ、エンターテイメント系のシステム開発を得意とする一方、近年は医療・介護分野の自社製品開発にも注力している。その中核となっているのが3次元動作計測システムの「鑑AKIRA」である。

その発端は、社員の遊び心から始まった、非接触で人体の位置や動きをリアルタイムで計測可能とするマイクロソフト社の新たな赤外線センサー「キネクト」の活用探求に遡る。当初はバーチャル書道アプリやキャラクターを動かすエンターテイメントアプリなどを開発していたが、2012年に大学との連携でリハビリ支援システムのプロトタイプを作成し、それがきっかけで西広島リハビリテーション病院の岡本医院長と出会ったのが開発の大きな転機となった。

そして、2013年度の広島県の医療関連産業創出事業補助金を活用し、開発したのが「鑑AKIRA」である。当初はリハビリテーションにおける片麻痺機能テストの測定システムとして開発し、2014年に第2種医療機器製造販売業の許可を取得、2015年にはクラス1の医療機器として届出を行った。その後、関連の医療機関や大学等との連携のもと、継続的に機能を拡張し、現在に至っている。これまで80台を販売し、同社の医療・介護分野の市場開拓の先導的な役割を担っている。

(2)事業コンセプト

「鑑AKIRA」の計測画面

「鑑AKIRA」は、ICTの力を使い、リハビリの効果を客観的に計測・評価できるようにすることで、リハビリを楽しく行うこと、モチベーションの維持向上に貢献することをコンセプトとしている。これは、西広島リハビリテーションセンターの岡本医院長の「リハビリは客観的な効果計測ができていないところに大きな課題がある」との指摘に基づいている。エンターテイメント性を持たせてリハビリを楽しませようとするのではなく、リハビリの効果を分かりやすく目に見える形で示すことでモチベーションを高めることが、「鑑AKIRA」の提供価値である。

また、リハビリを行う医療者にとっても、「鑑AKIRA」を使用することで、効果計測の手間や時間を大幅に削減することができ、医療コストの低減につながる。もちろん、客観的な効果計測が行えることで、リハビリの質的な向上にも貢献する。

さらにシステムフレンドでは、「鑑AKIRA」をより汎用的な3次元動作計測システムとして捉えることで、医療分野だけでなく、介護分野等にもその活用範囲を広げている。簡単に計測できることにこだわりを持ち、操作性を高め、導入のハードルを下げることで、介護施設やフィットネス施設などにも販売が広がっている。

(3)実施方策・活用資源

こうしたシステムフレンドの「鑑AKIRA」事業の推進を支える方策・資源としては、以下の3つが挙げられる。

①ベースシステムを基盤としたコースメニューの開発

「鑑AKIRA」プラットフォーム

当初「鑑AKIRA」は、リハビリテーションでの片麻痺の測定システムというハード・ソフト一体型のシステムとして開発されたが、システムフレンドでは、3D・センサー計測の基本部分を担うベースシステムと、具体的な動作計測を実現するソフト部分を切り分けることで、共通基盤であるベースシステムの上に、特定の動作計測に最適化されたコースメニューを加えていくという新たな事業モデルを開発した。

これにより、各機関・施設のニーズに応じて、「歩行計測コース」や「立ち座り計測コース」、「しなやかさ計測コース」、「ADLアウトカム評価コース」などのコースメニューが開発され、3次元動作計測システムとしてのバリエーションを広げている。

②関連学会等での積極的なPR、情報収集

「鑑AKIRA」のコースメニューの開発にあたっては、まずは現場の声をしっかり聞くことを重視し、デモも活発に行っている。非接触センサーを使い、カメラの前に立つだけで計測を始めることができる「鑑AKIRA」は、学会等の現場でも手早く、手軽にデモができるのが強みとなっている。実際に使ってみてもらうことで、様々な意見を吸い上げ、開発に活かしていくのが、システムフレンドの基本的なスタンスである。全国のリハビリ専門医や理学療法士・作業療法士等が集う「日本リハビリテーション医学会」を中心に、それぞれの開発テーマに応じて、幅広い分野の学会等に参加している。

こうして幅広くニーズを確認しながら、開発時には特定の機関とフォーメーションを組んで開発を進めており、これらの適切なバランスが開発推進の重要なポイントとなっている。

③大学・研究機関との連携によるエビデンスの確保

「鑑AKIRA」は簡便に動作計測が行えることが強みであるが、キネクトセンサーの特性上、計測の範囲や正確性等の面では一定の制約がある。特に医療の臨床現場で使用してもらうためには、計測機器としての「鑑AKIRA」の特性や機能を明確化し、第3者の視点で評価を受けることが重要である。

そのため、システムフレンドでは、大学・研究機関との連携により、「鑑AKIRA」の特性や機能に関するエビデンスを確保することを重視している。論文化して学会誌に掲載されると、「鑑AKIRA」のPR価値も高まる。これまで、広島国際大学や広島大学、近畿大学等と共同研究を進め、自社社員も著者メンバーに加わる形で、5~6本の論文が掲載されている。

(4)収益確保のポイント・目標

「鑑AKIRA」は、従来の数千万円クラスの動作計測システムに比べるとはるかに安価であるが、運営資金が限られる介護施設やフィットネス施設にとっては導入のハードルは低くない。そこで、サブスクリプションモデル(保守費用込みの定額利用料契約)を導入し、利用者の初期導入費用を抑えるとともに、長期・安定的な収益確保を図ることを検討している。また医療機関等に対しては、リハビリ支援システムの大手メーカーとの販売業務契約の締結により、電子カルテとのシステム連携が進み、拡販フェーズに入りつつあることが追い風となっている。

今後は、人間ドック施設や介護施設にも販売を広げていくことで、年間100台ペースでの導入・販売を図り、事業の柱としての位置付けを確立していく意向である。